「このモデルでは、時計製造の設計を構築していく際に採用される、美的側面に関する要素が見て取れます。 中部を見えなくするダイヤルは取り払い、曲線美を描くベゼルの内側にある透明なサファイアを通して、ケースバックが見えるように設計しました。これによって構築的な内部が露出します。 こうして、どの角度からも立体的な効果を確認できます。 ウォッチ内部へと旅することができるのです。 メカニズムの中を奥までじっくりと眺めれば、歯車などの部品がミクロの世界で動きながら相互作用を続ける、果てしない複雑機構が見えてきます。」
RM 003-V2 TOURBILLON
手巻トゥールビヨンムーブメント、時・分表示、セカンドタイムゾーン、ファンクションセレクター、パワーリザーブインジケーター、トルクインジケーター。
約70時間(± 10%)。
これはカーボンナノファイバーからつくられた等方性複合素材で、あらゆる方向での力学・物理・化学的な安定性を確保するために、7,500 N/cm2 の高圧と2,000℃の高温で射出成形が行われました。
ムーブメントの地板の外周を波状にすることで、地板とブリッジの高い剛性を実現しました。
製造工程のさまざまな温度条件はもとより、常識の枠を超えるような温度であっても、非晶質、化学的に中性、寸法安定という特性があります。
こうした安定性により、いかなる条件下であれ、ムーブメントの軸間のばらつきを抑え、最高の信頼性が確保されます。
グレード5チタンは、チタン90%、アルミニウム6%、バナジウム4%で構成され、生体適合性、耐食性や剛性に優れた合金です。 この組成によって素材の機械特性がさらに強化されるため、航空宇宙産業や航空産業、自動車産業でこの合金がよく使用されています。
地板とブリッジには徹底した検証テストを課し、最高の強度を実現しています。
ARCAP®で剛性を高めたセントラルブリッジ
これにより輪列を組み込む地板とブリッジに高い剛性を確保します。
デュアルタイムゾーン インジケーター
このデュアルタイムゾーン インジケーターは技術的には極めて複雑ですが、ユーザーにとっては使いやすい仕様となっています。 ダイヤルの中央にある時間を刻印されたサファイアガラス製の透明なディスクが、ムーブメントの中を回転します。 ディスクの数字が現れるのは、3時位置の白いフィールドをバックに停止するときだけです。
この第2時間帯は、精巧に仕上げられた9時位置のプッシュボタンを使うことで、簡単に手早く調整することができ、 一回押すごとに1時間進みます。
ファンクションセレクター
車のギアチェンジのように、リューズの中央に配されたプッシュボタンを押すと、W(巻き上げ)、N(ニュートラル)、H(時刻合わせ)のいずれかの機能を選択することができます。 選択された機能は4時位置にある針で示されます。
トルクインジケーター
このインジケーターは主ぜんまいの張り具合を表示し、ムーブメントの計時機能の
最適化を可能にします。 53 Nmm以下の張りは緩すぎ、65 Nmm以上は張りすぎと見なされ、張りすぎは
メカニズムの損傷につながることもあります。
パワーリザーブインジケーター
パワーリザーブインジケーターは、ふたたび巻き上げる必要が生じる前に、主ゼンマイに残された動力の時間を示します。
可変慣性フリースプラングテンプ
このテンワは、衝撃を受けた場合やムーブメントの組み立てと分解の際に、より高い信頼性を約束し、長期間にわたり優れた計時精度を保証します。 緩急針をなくして4個の調整ネジを採用した結果、より正確に何度でも歩度を調整できるようになりました。
セントラルインボリュート歯形を採用した香箱の歯車と三番車カナ
香箱の歯車のセントラル・インボリュート歯形には20°という理想的な圧力角が採用されており、回転運動の効率を向上させ、輪列動作のばらつきを補正します。 その結果、優れたトルク伝達効率と性能の大幅な向上が実現されました。
ブリッジおよびケース用のグレード5チタン製スプラインネジ
これにより、組み立ての際にネジの締め付けトルクを最適に制御することができます。 組み立てや分解時にほとんど影響を受けないため、理想的な経年変化が保証されています。
ムーブメントの特徴
ムーブメント直径:30.20 mm×28.60 mm
厚さ:6,35 mm
トゥールビヨン直径:12.30 mm
テンワ直径:10.00 mm
石数:23
テンプ:グリュシデュール®製、2アーム型、4個の調整ネジ、慣性モーメント 10 mg•cm2、リフトアングル 53°
振動数:21,600振動/時(3 Hz)
ヒゲゼンマイ:ニヴァロックス®によるエリンバー
トルクインジケーター:dNmmの測定値を参照
耐震装置:KIF エラスター KE 160 B28
ケース
この時計全体の設計と製作には、ムーブメント、ケースおよびダイヤルに関するコンセプトに基づく包括的なアプローチが反映されています。 その結果、車台とエンジンが完璧に調和したF1レーシングカーの設計に用いられる分析的な技術を駆使し、すべてが極めて厳密な仕様に合うよう構築されました。 例えば、ケーシングリングは用いず、ムーブメントは、グレード5チタン製ネジで固定したシャシーのマウントラバー(ISO SW)に取り付けます。 このような特徴は、妥協を許さない職人技術の証と言えます。
3層構造のケースには2つのニトリル製O-リングガスケットが使用され、50mの防水機能を保証。 ケースの組み立てには、12本のグレード5チタン製スプラインネジと、316Lステンレススティール製の耐摩耗性ワッシャをー使用しています。
仕上げ
・手作業による面取りと研磨
・手作業によるポリッシュ仕上げの係止部
・サファイアブラスト加工を施した切削部分
・ラップ加工およびポリッシュ仕上げの接続部分
・艶出しした軸
・サファイアブラスト加工を施した表面
・手作業によるポリッシュ仕上げが施された面取り
・ダイヤモンドツールによる凹面面取り
・サーキュラー仕上げの表面
・ロジウムメッキ加工(歯をカットする前)
・歯の形状と性能を維持するため、加工後の処理は最低限に留める
その他の特徴
この機構には次のような長所があるため、耐久性が高まるとともにメンテナンスが容易になります。
この時刻合わせ機構では、部品がムーブメントの外側に取り付けられているため、不具合が生じて交換する場合やメンテナンスの際に地板が影響を受ける恐れがありません。
このモジュールをケースバックに取り付ける、あるいは取り外す際、針や文字盤を取り外す必要はありません。
この構造によって、噛み合うときの抵抗を回転抵抗し、スムーズな時刻設定を可能にします。
これは、磨耗現象をなくすための長期的な技術的展望を反映するもので、摩擦学において技術的な進歩をもたらしました。